21世紀型組織運営とは

こんにちは、気づいたらこれが今年1発目のブログということに戦慄を覚えている古俣です。

最近働き方改革が言われるようになりましたが、関連して感じていることを書いてみたいと思います。

ここ数年、当社にも大企業や老舗企業からの転職メンバーが増えてきました。
そして彼らの話を聞いていると、それらの企業との、組織運営・文化の断絶に驚くことがあります。

まず使っているツールの違いに驚きます。古い企業はいまだに社内コミュニケーションに電話・FAX・メモ・メール・ワード・エクセルが主体になっているようです。とにかく紙が多いのも特徴で、パワポでつくった資料を会議でわざわざ紙に打ち出し、手書きでメモを入れていくという謎な風習もあるとかないとか。


クラウドツールによる情報共有の効用

対して僕らはChatwork・Slack・G Suite・Google Docs・Backlog・Trelloなどのクラウドベースのツールを、ほぼすべてのコミュニケーションで使います。なんなら社内で流れる情報の9割以上はチャット上で行われます。

よくオフィスを見学いただく方には「静かですね〜」と言われますが、社内コミュニケーションのほとんどはオンラインで活発におこなわれています。紙でのやり取りは皆無といっていいかもしれません。
(当然会議もありますが、基本クラウドの議事録がチャットで流れます)

これらのツールが違うことで、効用としての大きな違いが「情報共有レベルの圧倒的な差」にあります。電話やメール、エクセルなどは、基本的には1対1、または閉じられた関係性の中で使用されます。

対してクラウドベースのツールは、情報を発した瞬間に共有されるので、全員、または多くのメンバーにほとんどの情報が共有されるようになります。そうすると、いちいち説明の場を設けずとも、たいていのことは把握できるようになり、とても効率的でスピーディにものごとが進みます。ついでに「俺は聞いてない」というありがちな弊害もなくなります笑。

またクラウドベースでのコミュニケーションが当たり前になると、他人に時間を合わせる必要性が劇的に減ってくるので、無駄な朝礼、必要のない会議、遅刻するときの意味のない電話をなくせます。いまだに通勤電車で小声で遅刻を謝罪している人を見ると胸が痛くなります。

本来であれば、クラウド上に必要な情報を共有さえしていけば、全員が個人のペースで行動しながら、同時にチームで共創して圧倒的スピード感でプロジェクトを進めることができます。

コミュニケーションの工程に紙や電話が挟まると、それらを社内共有するのに一手間も二手間もかけねばならず、僕らの組織では一気に目詰まりを起こしそうです。
(ちなみに補足すると、当社も外部とのやり取りは当然電話やメールを活用します)


自然にリモートワーク化

このような環境だとストレスは劇的に軽減され、効率性とスピード感が飛躍的に高まります。そしてさらなる効用として、リモートワークが自然に可能になることです。当社も一定以上の等級で、育児中のメンバーには自身の裁量でリモートワークが認められています。クラウドツールのおかげで、会社なのか家なのかどちらにいるかわからないぐらい、自然に業務をこなせています。そのかいもあってか、出産・育児が原因で退職したメンバーはまだ1人もいません。

また当社は海外拠点が5つありますが、クラウドツール+Web会議システムにより海外とのコミュニケーションも自然に可能となっています。


隣の同僚にもチャットすべきか問題

よくメディアで古い体質の企業の典型例として紹介されるのが「隣に座っている同僚にもメールやチャットで連絡するのはけしからん」という経営者の発言です笑。まさにこの状況は、当社ではけしからんどころか当たり前に必要なことです。これは単に人と話すことがおっくうだからしているのではなく、情報共有上そちらのほうが圧倒的に望ましいからです。対面コミュニケーションを強制されていたらリモートワークはなかなか推進できません。

一方、もちろん対面で行うべきコミュニケーションもあります。感情面の配慮が必要だったり、ややこしい話や重めの依頼をする際などです。

ちなみに僕は仕事で電話を使うことは月に1回あるかどうかです。メールも週2〜3回ぐらい、しかも外部とのやり取りに使うぐらいです。クラウドツールをコミュニケーションのベースにすることで、スマホだけでも7割以上の業務をこなせるようになり、どこにいても、極端な話ベッドで寝ながらでも仕事ができる状態を実現できているのです。
(一方そうなると、オンオフの区切りが難しくなるので、その線引きの工夫も必要ですが)

クラウドツールの利用を徹底するだけで、働き方改革は実現できるのです。つまるところ、僕のような電話が嫌いな内向的経営者の時代がとうとう来たということですw。


21世紀型組織は真に顧客本位の組織

さらに、旧来型組織との、より本質的な違いがあります。それは真に顧客本位の組織かどうか、という点です。

高度成長期からバブルまでの右肩上がりの時代には、誰かが考えた商品やサービスを大量生産し、営業や店舗を拡大して大量販売していけば成長できる状況でした。しかし90年代からモノが飽和し、Webが普及してあらゆる情報が得やすくなり、好みや嗜好が多様化するようになると、大量生産・大量販売、ましてや押し売り型営業も通用しなくなりました。

さらにWebによりいろいろなことが可視化され、真に顧客のためになる商品・サービスなのかが如実に伝わるようになりました。そのため、誰かが考えたものを上意下達するだけでは、顧客から自分たちの都合を見透かされることになります。逆に顧客に寄り添い、顧客視点からからスタートした商品づくり、サービスづくりを進められる組織づくりをしていかなければなりません。

すべては顧客のためになされる組織にしていかねば、顧客の支持を受けられず成長することができなくなるのです。


誰が言うかではなく何を言うか

そのためには入社年次や立場に関係なく、顧客のためにフラットに意見を述べられる組織文化でなければなりません。そのためには、社長の意見もアルバイトの意見も同等に扱われる環境の構築と意識の醸成が不可欠なのです。そこには単に上から下に情報を伝達する役割の人も必要ありませんし、誰かにお伺いを立てながら進める必要もないのです。

その意味で当社のような組織は「メンバーの自律を促していく組織」でもあると思います。裁量の広いフラットな環境で、顧客に寄り添い、顧客のために自ら大小の意思決定をし、適切な情報共有をしながら周囲を巻き込んで業務を進めていく。このような環境は、年齢・経験関係なく、自律して自走していける人材には最高の環境だし、逆に自らの成長や決断を周囲に依存する性質の人にはつらい環境だと思います。

そして、これから日本特有の新卒一括採用も急速に変化していくことは間違いなく、学生でも自律した考え方ができる人材は、ある意味即戦力として活躍していける時代になっていくと思います。

上記のような、特に僕らのようなインターネット企業では当たり前のことが、日本全体の400万社から見るとほんの一握りなのが現実です。まだまだ企業全体の大多数を占める、いつまでも権威をもって旧来の手法でマネジメントするような、古い価値観の組織に居続けることのリスクがどんどん大きくなっていくともいえます。

そして僕らも新世代の企業に同じことを言われないよう、さらに進化していきたいと思います笑。