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人生を賭けられる事業の見つけ方

昨年のことですが、いつもお世話になっている、NPO法人のETICさんが立ち上げたMAKERS UNIVERSITYという新規プロジェクトに僕もメンターとして参加させてもらいました。

MAKERS UNIVERSITYとは、起業を志向する学生を対象にした学校であり、8ヶ月間のプログラムを通して、本気で起業を実行していくというプロジェクトです。僕も含めた多様なメンターが参加し、それぞれゼミという形で学生に対してメンタリングしていきます。

僕のゼミには7人の学生が来てくれたのですが、7人中5〜6人が翌年に卒業を控える中、誰も就活せずに起業以外の選択肢はない、という気合の入った状態でした。

しかし問題は、気合はあれども事業がない、という状態の学生が半分以上いたことです。またすでに何かしら始めていても、本当に今やっていることが正しいのか、このまま進んでしまっていいのか、という迷いがある状態でもありました。

僕が思うに起業には2種類あって、やりたいこと、解決したいことが明確にあるから起業する場合と、起業したいという想いが先にあってそれから事業選びをする、という場合です。一般的には後者のケースが多い印象があり、僕も後者でした。

僕自身、28歳で今のピクスタを立ち上げるまでに、3回ピポッドしてピクスタにたどり着きました。それからいろいろ苦労もありましたが、なんとか形になって上場まですることができました。

その経験から、最初の事業選びで失敗してしまうと、立ち上がる前にモチベーションを失ったり、厳しい時期を乗り越えられなかったり、人がついてこなかったりして行き詰まってしまうのです。

そこで僕が28歳までの数年間、いろいろ迷いながらも本当に人生を賭けられる事業にたどり着けた方法を公開したいと思います(ただしすでに使命感を持って事業に取り組めている人は対象ではないし、誰もがこの考え方でスムーズに事業選択ができるかはわからないので、あくまで参考として読んでもらえればと思います)。

ちなみに昨年のMAKERS UNIVERCITYの学生の中で、最終的に自分がやるべき事業を見つけられたのは、ピポッドも含めて5人、まだ模索中なのが2人ということで、半数以上は半年以内に人生を賭けられる事業プランを見つけられたということになります。

※ちなみに余談ですが、僕の経験を踏まえて起業するにあたって大事なことをまとめた「ネットベンチャーを8年間やってきた学んだ20のこと」という記事は今でもそのまま通用すると思っています。

事業プランを考える上で、まずほとんどの人が試して行き詰まってしまうのが、個別のビジネスモデルから入ってしまうやり方です。よく言われるのが、身近にある不便なことや、これから伸びそうな市場を元にアイディアを考えろ、という方法ですが、大体の人はこのやり方でいつまでたっても事業が決まりません。

なぜかというと、多少アイディアらしきものを思いついても、すでに誰かがやっているだろう、自分がわざわざこの事業をやる理由がない、うまくいくイメージが持てないといった不安が大きすぎて、とても実行できる自信が持てないのです。

ではどうすればいいのか?

順番としては、まず広く分野を選ぶ。そしてその分野の中で、可能な限りビジネスモデルを列挙する、というステップです。

事業をゼロから立ち上げて推進していくには、尋常ではないエネルギーとモチベーションが必要です。なので自分が想いを持てたり強く共感できることであることが必須です。そのためにはビジネスモデルの前に、自分が選ぶべき「分野」を決めることです。自分が想いを持てるビジネスモデルをいきなり考え出すことは不可能に近く、まずは広く曖昧に分野を絞ることから始めることが近道なのです。

分野を決めるための方法論に正解はないので実は難しいのですが、過去の原体験や過去に時間を忘れて取り組んだこと、ソーシャルメディアを見ていて気になるニュースはなにかなど、自分をとことん掘り下げる作業をすることです。イメージ的には就活のときの自己分析に近いかと思います(僕は就活したことないけど・・)。

そして自分ととことん向き合い、自分を掘り下げながら、どの分野なら一番想いや共感を持てるのかを考え続けるのです。すぐには決まらないかもしれません。ただ毎日毎日数時間以上考え続けたら、遅くとも2〜3ヶ月で見えてくると思います。またすでに分野が決まっている人は話が早いですね。

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ちなみに僕の場合は、20代中盤のときに、最初につくった会社でECサイトを何十サイトも運営し、生活費を稼ぎながら人生を賭けられる事業は何かと考え続けていました。昼間はECサイト運営の仕事をし、夜の19時から夜中の2時ぐらいまでひたすら考え続けていました。

そうすると、自分が本当に想いが持てるのは、小さい頃から好きだったコンテンツ・クリエイティブ分野ではないのかという考えが日増しに強くなっていきました。しかしその分野は好きだったものの、自分には作品を生み出す才能はない、とわかっていたのであきらめていたのでした。しかしインターネット事業であれば、才能を持つ人を支援する事業に可能性があるのではないか、と思うようになったのでした。
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そして自分が想いや共感を持てる分野がある程度決まったら、その中でビジネスモデルを考えるのです。そのときに大事なことは、たまたま1つ2つを思いつくのではなく、可能な限り、一見バカげたアイディアも含めてとにかく列挙することです。

※ちなみにソフトバンク孫社長は、創業前の事業選びの際に、1年半かけて40個の事業プランを考えました。しかもそれぞれ徹底的に。それぐらいやり切れるから今の成功があるとも言えるかもしれませんが。。
http://logmi.jp/28980#subhead3
http://www.asagei.com/excerpt/7512

ですのでその分野の中で、今の時代に合っている事業、人々の痛みやニーズが大きいこと、これから伸びるであろう事業、自分の得意な能力を活かせそうな事業、といった観点でひたすら列挙していくのです。

数にすると10より20、20より50、50より100個考えだしたほうが望ましいです。多ければ多いほど、最終的な精度が高まるからです。そして列挙しきったあとに、それぞれのプランを深掘りしていくのです。

その際には、プランに優先順位をつけて、いけそうなものから調べていくことがよいでしょう。それぞれ対象の市場規模はどのぐらいか、競合はいるのか、新しい切り口で参入できそうか、どれかのプランを組み合わせてもっと良いプランにできないか、などを記載しながら、それぞれの可能性について思いを巡らすのです。

また同時に起業家としての先輩やメンターがいれば、そのリストを見せて意見を聞いてみるのもオススメです。すでに事業を始めて成長させている方であれば、多くの事業プランの中からピンとくるものはどれか、なぜそう思うのか、という意見を的確にもらえて参考になることが多いからです。

そうやって数十の事業プランを毎日毎日いろんな観点で考え続けたり他人の意見を聞いていると、自然と最終的に絞られていくのです。その期間も長くて2〜3ヶ月でしょう。そこまでやり切れれば、これ以上の選択肢はもはやない、という状況になり、かなりの自信を持ってその事業に取り組めるようになるのです。

またどこまで目指すのか、を決めることも分野・ビジネスモデル選びと同じぐらい重要です。どこまでというのは登る山の高さであり、最終的な成功度合いとしてスモールビジネスで年収2000万あればいいのか、1000億円企業を目指すのか、1兆円の時価総額を目指すのか、それともお金ではなく自由が欲しいのか、それとも親しい友人に囲まれて楽しく暮らしたいのか、という成功イメージです。そして登る山の高さが変わると、選ぶビジネスモデルも変わるし、どのルートを通って山を登るのかという事業のアプローチ方法もまったく変わってきます。

そしてどこまで目指すのか、というのは、自分自身の心のエゴの部分によるところが大きいのです。どういう状態を実現すれば自分が最も幸せを感じられるのか、後悔なく死ねるのかというところを考え抜いて、最終的に腹落ちできる成功イメージを持つことがとても重要です。そこがずれたまま始めてしまうと、うまくいけばいくほどこんなはずじゃなかった、ということになってしまうからです。


ということで、僕が11年前に始めたPIXTAという事業は、このようなプロセスをたどってスタートした事業なので、迷うことなく立ち上げることができました。またスタートして3年間は売上がほとんど立たずに赤字続きで、いっとき会社のキャッシュがマイナス300万になったり、個人のカードローンがMAXまでいったりと、軌道に乗るまでにはそれなりに苦労しましたが、途中でやめるという選択肢はなく、ここまでやり切ることができました。

またピクスタ創業前に設定した登る山の高さ(詳細は内緒ですがw)はまだまだはるか高い頂にあり、現状の進捗としては数%でありまったく満足していないので、まだまだモチベーション高くがんばれそうですw。

以上、これから起業を考えている人、すでに起業したけどいまいちしっくり来てない方に少しでも参考になれば幸いです。