先週木曜に、第2四半期決算発表と同時に企業理念のリニューアルとグループビジョンの新設を発表しました。
なぜ今変えるのか?
理由としては2つあって、2年前の上場を境に、それまでの日本でのPIXTA事業一本足打法から、複数事業展開に舵を切り始め、企業としてのステージが上がってきたこと。また僕らが本当に実現したいと思っている世界観が伝わっていないと感じることが多いためです。
僕らが本当に実現したいことは、単純に写真を売るのではなく、埋もれた才能を世界につなげることです。そして無数の感動を生み出し、世界をポジティブに変えていくことです。
もっとその理念・ビジョンを理解してもらう必要があるということで、下記のとおり、企業理念のバージョンアップと新たなグループビジョンを発表しました。
※リリースURL
https://pixta.co.jp/release/201708101500
新企業理念・グループビジョンに込めた想い
僕は昔から、モノにはこだわらない、物欲をあまり感じない性格でした。両親ともに小売業を営んでおり、3兄弟でいつも手伝いをしていて、ダンボールに箱詰めされた大量の商品をいつも目にしてきた反動なのかもしれません。
そして現実にあるモノではなく、物心ついたときからいろいろな人の才能が生み出す物語や世界観にどっぷりはまっていきました。
今でも心に深く残っている様々な世界観や物語があります。小説ならアガサ・クリスティーのミステリーの数々や星新一のショートショート、マンガならこち亀の両さんの破天荒さや無敵のポジティブさ、MASTERキートンや美味しんぼからは学校では習えないいろいろな現実も知ることができました。ゲームだと信長の野望や三国志にはまりすぎて兄と何日も徹夜したり、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーシリーズは好きすぎてイラストグッズの収集や展示会などもよく通っていました。
その他にも映画やアニメなど、興味の赴くままあらゆる分野で良いコンテンツを探し、その世界観に浸り、そのたびに感動を味わっていました。
しかし大人になってから違う側面を知ることになりました。それらの作品や世界観は、ほんの一握りの人達のものであること。その何千倍、何万倍の人達が日々創作活動をおこなっていること。一握りの作品が世に出るのはきっかけがあったにすぎないこと。
もちろんきっかけを掴むには絶え間ない努力が必要だし、多くの人を感動させるような才能や作品であることが前提です。しかし従来のマスメディアルートはあまりにも狭すぎる門であり、「運」や「誰かの恣意的な判断」で大きく命運が変わってしまう。
一方インターネットであれば、直接ユーザーから自分の世界観への評価を得られるというある意味「理想の世界」が実現できるのです。僕らはその世界をクリエイティブプラットフォームを通じて実現したいと思っています。
また大事な点としては、これからの時代はクリエイター全員が大ヒットを目指さなくてもいい、ということです。0か100かの世界ではなく、インターネットを通じて自分の才能を認めてくれる人が数十人、数百人でもいればある程度の収入や自己実現につながる。それも立派なクリエイター活動です。
クリエイターとしてすべてを賭けて悲壮感を持って、いろいろなことをあきらめながら活動する必要はなくなるのです。趣味の延長でも十分活躍できる舞台がインターネットならば実現できます。どんな立場の人でも夢をあきらめる必要もない。僕らがその世界を創っていきたいと思っています。
同調圧力からの解放
さらにこれは個人的なことですが、日本には昔から独自の「同調圧力」というものがあると思います。学校でも職場でも、他人と同じでないと風当たりが強く、居心地が悪くなって疎外感を味わうという感覚です。しかし海外に行くとよくわかりますが、日本では「人と同じで当たり前」ですが、海外では「人と違って当たり前」なのです。
自分自身、特に10代の時期はとにかく同質性を強いる空気やルールが嫌で、でもそれに抵抗する気概もなく、ひたすら窮屈で閉塞感を感じて過ごしていました(今は開放感でいっぱいですが笑)。そして現実の閉塞感から逃れるようにコンテンツの世界にはまっていたのだと思います。
そして20歳ぐらいから自分で海外に行くようになり、自分が生きてきた世界がいかに特殊で狭い世界だったのかを知り、もう人と違ってもいいんだと心から思えるようになりました。それからは本当に自分らしく、やりたいことをやって生きられるようになりました。
今では時代も変化し、徐々に多様性が認められるようになってきていると思いますが、まだまだ同質性を強いる文化は根強く残っていると思います。特にまだ義務教育の段階で何か1つのことに没頭していたり、なまじ人よりも才能を持っていたりすると、窮屈で生きづらい状況にある子どもや若者も多く存在していると思います。
僕らが展開していくクリエイティブプラットフォーム事業によって、多様性を思う存分発揮することができ、子供でも大人でも、誰もが自分らしく生きられる世界を創っていきたいと思っています(ちなみにすでに何人もの方が、PIXTAでの活動によって会社を辞めて自由に自分らしく生きています)。そして大小様々な感動が生み出され、その集積によって世界がよりポジティブになっていくことが僕らの願いです。
将来の企業イメージ
そして僕らが最終的に目指す企業イメージは「21世紀型のメディア・コングロマリット」です。20世紀型の、メディア自身が強大な力を持つ中央集権的な形ではなく、無数の才能が集まり、無数のクリエイティブ・コンテンツが発信され、自動的にマッチングされた無数のユーザーが感動を享受していくという極めてフラットで分散化された世界の集合体です。
そこから100万人にヒットするコンテンツが生まれるかもしれないし、100人だけが感動する作品が出てくるかもしれない。どんな才能でも活かされる世界を創っていきたいと思っています。
今の2017年8月時点では、3つのプラットフォームを運営しています。それぞれ大きな可能性を秘めていると思っていますが、これから他分野でも徐々に展開していきます。そして10年〜20年かけて複数のブランドを持ち、全体として数千億円規模のクリエイティブプラットフォーム経済圏をつくっていきたいと思います。