遺伝子がオンになるということ


こんにちは。これがすでに今年2本目のブログということに小さな達成感を覚え、自分の志の低さに愕然とした古俣です。

先日とある会で、かねてから尊敬していたIDOM(旧ガリバーインターナショナル)創業者の羽鳥会長にお会いできる機会がありました。
 
羽鳥会長といえば、現在のスタートアップ業界ではそれほど知られてないかもしれませんが、90年代に中古車買取専門店ガリバーをゼロから5年弱で500店舗まで拡大させたり、設立4年で会社が上場したり、60歳を超えてアメリカをマラソンで横断したりと、不可能を可能にしてきたスーパー起業家なわけです。
 
その羽鳥会長がよく「遺伝子がオンになる」という話をしているのですね。


羽鳥会長の超人的エピソード


羽鳥会長が30代のときに、義兄とやっていた会社が詐欺にあって倒産し、再起を図ろうと中古車販売を始めたが、資金もなくプライドも邪魔してなかなか行動できずに悶々としていた時期。
 
そこにチンピラ風の男がやってきて「羽鳥のやつらは夜逃げしたんだってな」と、夜逃げなどしていないのにそう言われたと。そのとき全身に鳥肌がたち、体中の血が逆流するように体が震え、怒りがこみ上げてきたそうです。そして「俺は絶対に再起してみせる」と決意したと。
 
そのときに火花が散るように自分の遺伝子がオンになった、と羽鳥会長は言っています。
 
遺伝子がオンになる、というのは、筑波大学の村上教授という、長年遺伝子の研究をされてきた方が提唱されている話で、すべての人間の遺伝子は99.5%が同じであると。そしてほとんどの遺伝子は眠ったまま一生を終えるのだそうです。しかし偉大な成果を出す人間は、何かのきっかけで眠っていた遺伝子がオンになったからだ、ということだそうです。
 
羽鳥会長は遺伝子がオンになった結果、超人的な行動力を発揮し、まずは1万円で仕入れたカローラを知人に頼み込んで45万円で買ってもらうところから始め、普通は1人で月に3〜5台売るのが限界である中古車販売を、1人で月50台、年間600〜700台を売り切り、その結果、3年間で3億円の借金を返済したという驚異的なエピソードがあります。
 
僕はその話をまだピクスタ創業の頃に雑誌で読み、人間その気になればどんなことでも実現できるものだと、とても勇気づけられことを覚えています。
 

19歳のときのイスラエル体験 


そして振り返ってみると、自分にも実は遺伝子がオンになったのかもしれない瞬間が2回ほどありました。1回目は19歳のときに初めての海外体験で行ったイスラエル旅行、2回目は23歳のときにたまたま入社したガイアックスという会社での初めての営業体験でした。
 
自分は高校入学のときから、何に対しても意欲が持てず、悪友とだらだらと街を徘徊したりゲーム三昧の日々を送ったりと、どうしようもない時期を数年間すごしていました。そのままなんとか大学には入れたものの、堕落した日々は改善されず、なんと大学1年生でいきなり留年してしまったのです。
 
そのときはさすがに反省したものの、かといって生活がそれほど変わることもなく2回目の1年生の夏を迎えていました。そのとき、たまたま叔母がイスラエル人と結婚してイスラエルに移住しており、そろそろ1回遊びに来なさいと打診がありました。
 
海外に行ったこともないのにいきなりイスラエルか、、とだいぶ渋ったものの、留年した負い目もあるし、親からも行ってこいと半ば強引に進められたので、渋々行くことにしたのでした。
 
そして1ヶ月間、いろいろ大変な思いをしながらも、1人でイスラエルの各地を回ってみたのです。
 
3つの異なる宗教が共存している聖地エルサレムであったり、周囲が敵国だらけの国境近辺では、自分と同世代の若者が銃を装備して厳戒態勢を敷いていたり、途中で叔母に紹介してもらった現地の大学生から、不足する水資源を確保するためのバイオ研究の施設を見せてもらったりと、日本で暮らしていてはまったく触れることのなかった、世界の現実をリアルに感じることができたのです。
 
また、どこに行くにも人に聞かないとわからない、バスだろうがタクシーだろうが、自分の希望を片言の英語でしっかり主張しないと動いてくれない、という現実に、日本でのほほんで過ごしていた19歳の自分が直面したのです。そこで覚悟を決めて開き直った結果、相手が誰であろうが片言だろうが堂々と主張する、という図太さと自信がそのときに身につきました。
 

自分の遺伝子がオンになった瞬間


その体験を通じ、不思議なことに、それまでの閉塞感しかなかった人生がぱっと明るくなり、大きく視界がひらけたのです。世界はこんなにも広く、日本とはまったく異なる現実がそこにあり、また同時に大きな可能性に満ちているのだと実感できたのです。そして自分もその広い世界で挑戦することができるかもしれないと。
 
日本だけで過ごしていると、日本特有の同調圧力により、いかに人と同じかが問われ、本当に自分らしい生き方を無意識にあきらめていたのかもしれません。しかしイスラエルに行き、世界の多様性に触れることで自分の遺伝子がオンになり、本気で自分の生き方を考えられるようになったかもしれません。
 
そしてイスラエルから帰国するときには、自分は事業家として生きよう、と決意していたのです。それからは悪友に誘われても一切断るようになり、自分で事業を立ち上げるためだけにほぼすべての時間を投下するようになりました。
 
もう1つのガイアックスの営業体験による遺伝子オンの経験については、長くなってしまったので、また別の機会で書きたいと思います笑。
  

遺伝子がオンになる人材


そして、ピクスタを創業して13年半の間にも、遺伝子がオンになったであろうピクスタメンバーが実は何人もいるのではないかと思っています。あるとき急に行動や姿勢が大きく変化し、それまでの何倍ものスピードで成長する人材が定期的に出てくるのです。
 
そういった人材の共通点は何かと考えてみると、
 
  • それまでに、マグマのように溜まった思いや鬱屈した何かを持っていること
  • そこにストレッチした挑戦の機会が生まれ、そのストレスに負けずにやりきったこと
  • 自身の使命感、生き方が、そのミッションにマッチしていること
 
があったように思います。
 
1回遺伝子がオンになった人材は、それが長期間持続し、数年たつと見違えるような成長を遂げています。
 
そして全員が全員そうなれるかはわかりませんが、経営者の役割として、1人でも多くのメンバーにそのようなきっかけを提供したいと思っています。
 
みなさんも遺伝子がオンになったような経験はありますか?

クリエイター向けの祭典「PIXTA DAY」の開催と大事な原点の話

先日、PIXTA&fotowaに登録いただいているクリエイター向けのイベント「PIXTA DAY」を開催しました。

去年までは「PIXTAクリエイターAWARD」という名称で毎年実施してきましたが、今年は大幅に内容をアップデートしました。
 
今回は表彰だけではなく、クリエイター自身によるセミナーを実施して、相互に学び合いの機会をつくったり、表彰もトップランキングに加え、新人賞やユニークコンテンツ賞など、いろいろな形でクリエイターさんを表彰し、日頃の感謝を伝えることができました。
 
参加人数も過去最高の100人超えと、過去最高に充実したイベントになりました!
 
総責任者の川西くん大変おつかれさまでした!
 
※詳細はこちらの記事から見れます
 
今年もそうでしたが、PIXTA&fotowaを支えていただいているクリエイターのみなさんと1年に1回接することで、僕らの原点を改めて思い返すことができます。
 
僕らが実現したいことは、単に写真を売ったり撮影を仲介することではなく、「才能をつなぎ、世界をポジティブにする」という理念であらわしているとおり、埋もれた才能に光をあて、様々な感動を生み出し、ポジティブな世界に変えていくことです。
 
※理念に込めた思いは下記ブログをぜひご覧ください
 
今回のイベントで、多様な表彰を行ったことで、遠くからもたくさんのクリエイターさんにお越しいただき、僕らは実際にたくさんの才能をつなげていること、そしてまだほんの一部ですが、ポジティブな世界を少しずつでも生み出せていることが実感でき、本当にうれしかったです。
 
これからも様々な才能を世界につなげるべく、メンバーと一緒にがんばっていきたいと思います。

今年もありがとうございました2018

大晦日にこんばんは。今年で後厄が終わり、徐々に上向きつつある古俣ですw。

今年は会社としてもスタートからいろいろ大変なこともありましたが、後半にかけていろいろなことが改善し、良い状態で年末を迎えることができました。

今年特にうれしかったこととしては、リーダー層が厚く充実してきたこと、また今年入社してくれたメンバーがとても素晴らしいメンバーだったことです。

今年からリーダー会議という、リーダーポジションのメンバー全員の定期ミーティングを始めました。海外のリーダーも含めると20数人、また年齢層も20代から50代である役員の内田まで幅広く揃っている陣容です(内田さんすませんw)。

ほとんどのリーダー陣は、上場前に参加してくれたメンバーであり、ピクスタで3年以上のキャリアを持ち、この3〜4年間で業績・組織ともに3倍弱の成長を担ってきてくれました。会社の成長とともに、個人としてもキャリアを積み、成果を出し、共に成長してきてくれたことがとてもうれしいです。

正直、上場企業といえど、この規模でこれだけのリーダー陣が揃っている会社はなかなかないのではないかと自画自賛していますw。

また今年入社してくれた20人弱のメンバーは、リーダー陣に負けないぐらい優秀で意欲があり、まさにこれからの飛躍を担ってくれる人材だと期待してます。

事業・組織・業績ともに今年は上向いてきており(株価もですがw)、来年以降の飛躍に向けて準備は整いました。

今年で僕も厄年が終わるし(2度目)、来年からどこまで飛べるか、本当に楽しみです。

ピクスタグループメンバーのみなさん、今年も全力を尽くしてくれて本当におつかれさまでした。また年明けから、僕らが生み出す価値を広げていくべくがんばりましょう。

今年もありがとうございました。
みなさま良いお年を!

21世紀型組織運営とは

こんにちは、気づいたらこれが今年1発目のブログということに戦慄を覚えている古俣です。

最近働き方改革が言われるようになりましたが、関連して感じていることを書いてみたいと思います。

ここ数年、当社にも大企業や老舗企業からの転職メンバーが増えてきました。
そして彼らの話を聞いていると、それらの企業との、組織運営・文化の断絶に驚くことがあります。

まず使っているツールの違いに驚きます。古い企業はいまだに社内コミュニケーションに電話・FAX・メモ・メール・ワード・エクセルが主体になっているようです。とにかく紙が多いのも特徴で、パワポでつくった資料を会議でわざわざ紙に打ち出し、手書きでメモを入れていくという謎な風習もあるとかないとか。


クラウドツールによる情報共有の効用

対して僕らはChatwork・Slack・G Suite・Google Docs・Backlog・Trelloなどのクラウドベースのツールを、ほぼすべてのコミュニケーションで使います。なんなら社内で流れる情報の9割以上はチャット上で行われます。

よくオフィスを見学いただく方には「静かですね〜」と言われますが、社内コミュニケーションのほとんどはオンラインで活発におこなわれています。紙でのやり取りは皆無といっていいかもしれません。
(当然会議もありますが、基本クラウドの議事録がチャットで流れます)

これらのツールが違うことで、効用としての大きな違いが「情報共有レベルの圧倒的な差」にあります。電話やメール、エクセルなどは、基本的には1対1、または閉じられた関係性の中で使用されます。

対してクラウドベースのツールは、情報を発した瞬間に共有されるので、全員、または多くのメンバーにほとんどの情報が共有されるようになります。そうすると、いちいち説明の場を設けずとも、たいていのことは把握できるようになり、とても効率的でスピーディにものごとが進みます。ついでに「俺は聞いてない」というありがちな弊害もなくなります笑。

またクラウドベースでのコミュニケーションが当たり前になると、他人に時間を合わせる必要性が劇的に減ってくるので、無駄な朝礼、必要のない会議、遅刻するときの意味のない電話をなくせます。いまだに通勤電車で小声で遅刻を謝罪している人を見ると胸が痛くなります。

本来であれば、クラウド上に必要な情報を共有さえしていけば、全員が個人のペースで行動しながら、同時にチームで共創して圧倒的スピード感でプロジェクトを進めることができます。

コミュニケーションの工程に紙や電話が挟まると、それらを社内共有するのに一手間も二手間もかけねばならず、僕らの組織では一気に目詰まりを起こしそうです。
(ちなみに補足すると、当社も外部とのやり取りは当然電話やメールを活用します)


自然にリモートワーク化

このような環境だとストレスは劇的に軽減され、効率性とスピード感が飛躍的に高まります。そしてさらなる効用として、リモートワークが自然に可能になることです。当社も一定以上の等級で、育児中のメンバーには自身の裁量でリモートワークが認められています。クラウドツールのおかげで、会社なのか家なのかどちらにいるかわからないぐらい、自然に業務をこなせています。そのかいもあってか、出産・育児が原因で退職したメンバーはまだ1人もいません。

また当社は海外拠点が5つありますが、クラウドツール+Web会議システムにより海外とのコミュニケーションも自然に可能となっています。


隣の同僚にもチャットすべきか問題

よくメディアで古い体質の企業の典型例として紹介されるのが「隣に座っている同僚にもメールやチャットで連絡するのはけしからん」という経営者の発言です笑。まさにこの状況は、当社ではけしからんどころか当たり前に必要なことです。これは単に人と話すことがおっくうだからしているのではなく、情報共有上そちらのほうが圧倒的に望ましいからです。対面コミュニケーションを強制されていたらリモートワークはなかなか推進できません。

一方、もちろん対面で行うべきコミュニケーションもあります。感情面の配慮が必要だったり、ややこしい話や重めの依頼をする際などです。

ちなみに僕は仕事で電話を使うことは月に1回あるかどうかです。メールも週2〜3回ぐらい、しかも外部とのやり取りに使うぐらいです。クラウドツールをコミュニケーションのベースにすることで、スマホだけでも7割以上の業務をこなせるようになり、どこにいても、極端な話ベッドで寝ながらでも仕事ができる状態を実現できているのです。
(一方そうなると、オンオフの区切りが難しくなるので、その線引きの工夫も必要ですが)

クラウドツールの利用を徹底するだけで、働き方改革は実現できるのです。つまるところ、僕のような電話が嫌いな内向的経営者の時代がとうとう来たということですw。


21世紀型組織は真に顧客本位の組織

さらに、旧来型組織との、より本質的な違いがあります。それは真に顧客本位の組織かどうか、という点です。

高度成長期からバブルまでの右肩上がりの時代には、誰かが考えた商品やサービスを大量生産し、営業や店舗を拡大して大量販売していけば成長できる状況でした。しかし90年代からモノが飽和し、Webが普及してあらゆる情報が得やすくなり、好みや嗜好が多様化するようになると、大量生産・大量販売、ましてや押し売り型営業も通用しなくなりました。

さらにWebによりいろいろなことが可視化され、真に顧客のためになる商品・サービスなのかが如実に伝わるようになりました。そのため、誰かが考えたものを上意下達するだけでは、顧客から自分たちの都合を見透かされることになります。逆に顧客に寄り添い、顧客視点からからスタートした商品づくり、サービスづくりを進められる組織づくりをしていかなければなりません。

すべては顧客のためになされる組織にしていかねば、顧客の支持を受けられず成長することができなくなるのです。


誰が言うかではなく何を言うか

そのためには入社年次や立場に関係なく、顧客のためにフラットに意見を述べられる組織文化でなければなりません。そのためには、社長の意見もアルバイトの意見も同等に扱われる環境の構築と意識の醸成が不可欠なのです。そこには単に上から下に情報を伝達する役割の人も必要ありませんし、誰かにお伺いを立てながら進める必要もないのです。

その意味で当社のような組織は「メンバーの自律を促していく組織」でもあると思います。裁量の広いフラットな環境で、顧客に寄り添い、顧客のために自ら大小の意思決定をし、適切な情報共有をしながら周囲を巻き込んで業務を進めていく。このような環境は、年齢・経験関係なく、自律して自走していける人材には最高の環境だし、逆に自らの成長や決断を周囲に依存する性質の人にはつらい環境だと思います。

そして、これから日本特有の新卒一括採用も急速に変化していくことは間違いなく、学生でも自律した考え方ができる人材は、ある意味即戦力として活躍していける時代になっていくと思います。

上記のような、特に僕らのようなインターネット企業では当たり前のことが、日本全体の400万社から見るとほんの一握りなのが現実です。まだまだ企業全体の大多数を占める、いつまでも権威をもって旧来の手法でマネジメントするような、古い価値観の組織に居続けることのリスクがどんどん大きくなっていくともいえます。

そして僕らも新世代の企業に同じことを言われないよう、さらに進化していきたいと思います笑。

今年もありがとうございました2017

こんにちは、今年は本厄だった古俣ですw。だからというわけではありませんが、今年はいいこともありましたが、例年になく大変なこともありました。

昨年から、次の飛躍に向けて、海外展開・新規事業を加速して戦線拡大し、今年は業績的には一旦しゃがみ込む年になりました。

そのため株価も4月に上場後最安値をつけ、こないだ日経新聞から「再起をかけるIPO銘柄」という取材依頼が来たりとか・・w。ある程度は覚悟していたものの、実際にそうなると精神的にはなかなかきついものがありました。

しかしその状況になったからこそ、自分自身IRに本格的に取り組み始めたという副産物もありました。特に去年まで担当だった経営企画部長の金氏が、韓国進出に伴い現地法人の代表になったため、僕と役員の恩田でIRを担当することになったのでした。

実際IRについて勉強したり、他社を研究したり情報交換させてもらったりする中での大きな気付きとしては、資本市場に対し、伝えたいこと、伝えるべきことの半分も伝えられていない、ということでした。

僕らは10年以上かけて、事業における本質的な競争力、優位性を築き、それが大きな参入障壁になっているわけですが、他のトップシェア企業と同様に、なかなかそれが表からは目に見えないわけです。ポーターの競争戦略を読むとよくわかりますが、強い事業を構成する競争優位性は1つではなく、いくつかの要素が相互に絡み合い、結果的に1つの美しいストーリーのようにつながっているのです。

しかしそれを投資家の方々に理解してもらう作業が、本当に難しいことだと実感しました。今年1年は自分自身IRを勉強しながら、資料と説明をブラッシュアップし、徐々に理解をしていただける投資家の方もあらわれてくれました。しかし実際まだ半分も伝えられていない、というところが正直なところです。

本来はIRと資本政策含め、上場前に万端にしておくことが理想だと思いますが、当社もそうでしたが上場前は膨大な作業と業績管理で手一杯で、そこまでの余裕がないことが多いと思います。結果としてそのあたりの詰めが甘いまま上場してしまったことは大きな反省点でした。。

しかしそんな中でも、新たに開始した新規事業・海外展開が、どれも想定以上または想定通りに進んでおり、これから本当に楽しみな状況です。

また事業範囲が拡大する中で、次世代メンバーが確実に育ってきていることもうれしいことです。特に20代メンバーの中から何人ものリーダーが生まれつつあり、事業とともに組織も進化しつつあると実感しています。これからも若手に機会をどんどん提供していきたいし、そのためにも事業成長にこだわってやっていきたいと思います。

そして今年は半年以上かけて、会社の理念・ビジョン・ピクスタウェイをフルリニューアルしました。創業の想いは変わらないものの、もっとダイレクトに伝わる、これからの会社のステージにふさわしいものにしたいという意志のもと、大胆に変更しました。
(変更したものは評判がよく安心しています)

ということで、総じて今年もいろいろなことがありましたが、やはり最も大事なことは、僕らの事業を通じて、ユーザーに価値をきちんと届けられているのか、価値を高められているのか、結果として理念を実現できているのか、というところです。そこに関しては一切ブレずに、国内外のピクスタメンバー一丸となって推進できているので、先行きは何も心配しないでいられます。

やはり事業は、短期悲観・長期楽観でやっていくことが望ましいと改めて実感できた1年でした。

それでは今年も本当にありがとうございました。
良いお年をお迎えください!

新企業理念とグループビジョン


先週木曜に、第2四半期決算発表と同時に企業理念のリニューアルとグループビジョンの新設を発表しました。

なぜ今変えるのか?


理由としては2つあって、2年前の上場を境に、それまでの日本でのPIXTA事業一本足打法から、複数事業展開に舵を切り始め、企業としてのステージが上がってきたこと。また僕らが本当に実現したいと思っている世界観が伝わっていないと感じることが多いためです。

僕らが本当に実現したいことは、単純に写真を売るのではなく、埋もれた才能を世界につなげることです。そして無数の感動を生み出し、世界をポジティブに変えていくことです。

もっとその理念・ビジョンを理解してもらう必要があるということで、下記のとおり、企業理念のバージョンアップと新たなグループビジョンを発表しました。

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※リリースURL
https://pixta.co.jp/release/201708101500

新企業理念・グループビジョンに込めた想い


僕は昔から、モノにはこだわらない、物欲をあまり感じない性格でした。両親ともに小売業を営んでおり、3兄弟でいつも手伝いをしていて、ダンボールに箱詰めされた大量の商品をいつも目にしてきた反動なのかもしれません。

そして現実にあるモノではなく、物心ついたときからいろいろな人の才能が生み出す物語や世界観にどっぷりはまっていきました。

今でも心に深く残っている様々な世界観や物語があります。小説ならアガサ・クリスティーのミステリーの数々や星新一のショートショート、マンガならこち亀の両さんの破天荒さや無敵のポジティブさ、MASTERキートンや美味しんぼからは学校では習えないいろいろな現実も知ることができました。ゲームだと信長の野望や三国志にはまりすぎて兄と何日も徹夜したり、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーシリーズは好きすぎてイラストグッズの収集や展示会などもよく通っていました。

その他にも映画やアニメなど、興味の赴くままあらゆる分野で良いコンテンツを探し、その世界観に浸り、そのたびに感動を味わっていました。

しかし大人になってから違う側面を知ることになりました。それらの作品や世界観は、ほんの一握りの人達のものであること。その何千倍、何万倍の人達が日々創作活動をおこなっていること。一握りの作品が世に出るのはきっかけがあったにすぎないこと。

もちろんきっかけを掴むには絶え間ない努力が必要だし、多くの人を感動させるような才能や作品であることが前提です。しかし従来のマスメディアルートはあまりにも狭すぎる門であり、「運」や「誰かの恣意的な判断」で大きく命運が変わってしまう。

一方インターネットであれば、直接ユーザーから自分の世界観への評価を得られるというある意味「理想の世界」が実現できるのです。僕らはその世界をクリエイティブプラットフォームを通じて実現したいと思っています。

また大事な点としては、これからの時代はクリエイター全員が大ヒットを目指さなくてもいい、ということです。0か100かの世界ではなく、インターネットを通じて自分の才能を認めてくれる人が数十人、数百人でもいればある程度の収入や自己実現につながる。それも立派なクリエイター活動です。

クリエイターとしてすべてを賭けて悲壮感を持って、いろいろなことをあきらめながら活動する必要はなくなるのです。趣味の延長でも十分活躍できる舞台がインターネットならば実現できます。どんな立場の人でも夢をあきらめる必要もない。僕らがその世界を創っていきたいと思っています。


同調圧力からの解放


さらにこれは個人的なことですが、日本には昔から独自の「同調圧力」というものがあると思います。学校でも職場でも、他人と同じでないと風当たりが強く、居心地が悪くなって疎外感を味わうという感覚です。しかし海外に行くとよくわかりますが、日本では「人と同じで当たり前」ですが、海外では「人と違って当たり前」なのです。

自分自身、特に10代の時期はとにかく同質性を強いる空気やルールが嫌で、でもそれに抵抗する気概もなく、ひたすら窮屈で閉塞感を感じて過ごしていました(今は開放感でいっぱいですが笑)。そして現実の閉塞感から逃れるようにコンテンツの世界にはまっていたのだと思います。

そして20歳ぐらいから自分で海外に行くようになり、自分が生きてきた世界がいかに特殊で狭い世界だったのかを知り、もう人と違ってもいいんだと心から思えるようになりました。それからは本当に自分らしく、やりたいことをやって生きられるようになりました。

今では時代も変化し、徐々に多様性が認められるようになってきていると思いますが、まだまだ同質性を強いる文化は根強く残っていると思います。特にまだ義務教育の段階で何か1つのことに没頭していたり、なまじ人よりも才能を持っていたりすると、窮屈で生きづらい状況にある子どもや若者も多く存在していると思います。

僕らが展開していくクリエイティブプラットフォーム事業によって、多様性を思う存分発揮することができ、子供でも大人でも、誰もが自分らしく生きられる世界を創っていきたいと思っています(ちなみにすでに何人もの方が、PIXTAでの活動によって会社を辞めて自由に自分らしく生きています)。そして大小様々な感動が生み出され、その集積によって世界がよりポジティブになっていくことが僕らの願いです。


将来の企業イメージ


そして僕らが最終的に目指す企業イメージは「21世紀型のメディア・コングロマリット」です。20世紀型の、メディア自身が強大な力を持つ中央集権的な形ではなく、無数の才能が集まり、無数のクリエイティブ・コンテンツが発信され、自動的にマッチングされた無数のユーザーが感動を享受していくという極めてフラットで分散化された世界の集合体です。

そこから100万人にヒットするコンテンツが生まれるかもしれないし、100人だけが感動する作品が出てくるかもしれない。どんな才能でも活かされる世界を創っていきたいと思っています。

今の2017年8月時点では、3つのプラットフォームを運営しています。それぞれ大きな可能性を秘めていると思っていますが、これから他分野でも徐々に展開していきます。そして10年〜20年かけて複数のブランドを持ち、全体として数千億円規模のクリエイティブプラットフォーム経済圏をつくっていきたいと思います。

正しい野心を持っているか?

半年ぶりにこんにちは。いろいろありますが私は元気です。
最近うれしいことがありました。

ピクスタALLリーダーランチ

今年から、人事部長の秋岡氏の発案によりALLリーダーランチというものを開催しています。
 
ピクスタには部長を含めて国内外に20人超のリーダーがいますが、月1回全員で集まり、ランチをしながらいろいろな経営トピックについてディスカッションするということをやっています。ちなみに海外組はオンラインでの参加です。
 
これまでのトピックとしては、今年の重点方針について各チームでどういう貢献ができるかであったり、日々のマネジメントについての課題を共有し合うセッションを行いました。
 
そして6月のセッションでは「ピクスタをどんな会社にしていきたいか?」というあえてざっくりしたテーマにし、各リーダーが考えを発表し合うという内容でした。
 
そこで出た意見を端的に紹介するとこんな感じです。
 
・成長し続ける会社でありたい
・グローバルで認知されている会社にしていきたい
・新しい事業がどんどん生まれる会社にしたい
・たくさんのファンがいる会社にしたい。無条件に好きみたいな
・世界中の人たちをつなげていける会社にしていきたい
・人に誇れる会社にしていきたい
・会社の成長と一緒にメンバーも成長していける会社にしたい
・理念を体現していると胸を張って言える会社にしたい
・ダイバーシティや多様性を受け入れられる会社にしたい
・思いやりを持てる会社にしていきたい
 
実際にはみんなもっと熱く語ってくれたのですが、良い意味で驚きました。リーダー全員が自分自身でピクスタの未来をつくっていくんだという意思を持っていること、また個人のエゴや望みのような発言は一切なく、ピクスタの理念やビジョンを実現していきたい、メンバーの成長を支援したいという発言ばかりだったことです。
 
またもう1つの出来事として、最近幹部候補としてお誘いしている方がおり、何度か話をしている中で、数人のリーダーとの面談をしてもらう機会がありました。面談後に感想を聞いてみると「誰も話の中で役員の名前を出したり言及した人がいない。みなさん理念や事業のことだけを熱く語っていた」と言うことでした。つまり当社のリーダーたちは誰かについていくのではなく、ピクスタの理念やビジョンについていっているということです。
 
正しい野心と間違った野心
 
この2つの出来事より、みんなまさにリーダーに必要な正しい野心を備えている、ということを感じ、我ながら感動を覚えました。僕らは正しいリーダーを正しく選べているのだなと。
 
ピクスタは12年前に、誰もが才能を活かせる機会を提供する、という想いを実現するべく1人で立ち上げました。そしてその想いに共感してくれた素晴らしいリーダー達が20人以上も集ってくれ、理念を体現できる組織を実現できていることが何よりもうれしかったです。
 
やはりリーダーや幹部が、会社の成長よりも、個人的な欲求や不満を優先し始めると一気に会社はおかしくなってしまいます。正しい野心とは「会社の勝利を第一の目標とし、その副産物として自分の成功を目指す」という考え方です(HARD THINGSより)。
 
僕が考える間違った野心の典型例とは、個人の好き嫌いで物事を判断することです。会社への貢献よりも自身の地位や報酬を優先し、要求することです。またその意見が正しいかどうかよりも、誰が言ったか、で判断することです。部下の成長よりも自分の手柄を優先することです。
 
そのような間違った野心を持つリーダーが見事に揃っている組織には何が起こるのか?
 
ピクスタではあまり経験がないので想像ですが、
 
・好き嫌いで人を判断するため派閥ができる
・幹部が保身に走るため、リスクを取らなくなって事業が停滞する
・リーダーへの信頼が薄れ、陰口や不満が横行する
・視点が常に社内に向くようになり、ユーザー・顧客をないがしろにしてしまう 等
 
考えると恐ろしいことばかりですねw。
 
しかし今のピクスタのリーダー陣を見ても、そのような行動をする人は1人もいないし、上記のような弊害は起こっていないと自信を持って言えます。
 
理念ドリブンの企業
 
そして改めて、ピクスタは理念ドリブンの企業であると思います。
 
良い悪いではなく、そこにチャンスがあるから、市場が伸びているから、儲かりそうだからという理由で事業を選択している企業も多くあります。
 
しかし僕らは創業の想いを元に事業を開始し、いろいろと大変ではあったけれど、なんとか継続して一定規模までスケールすることができた。そしてそれを実現する過程で理念ドリブンの組織も形になり、海外展開や横展開、さらに飛躍するための投資を積極化できている。
 
創業の理念を軸に、一貫性を持ってここまで成長し続けられていることは、本当に幸せだし嬉しいことです。
 
これからも正しい野心を持ち続ける経営陣であり、理念ドリブンの企業でありたいと思っています。