1990年代にインターネットが一般的に広まってきたときから「リアルとWEBの融合」という議論が交わされてきました。
当時から言われていたのは「これからはリアル世界で強みを持っている企業がWEBを使いこなすことでさらに強くなる」というものでした。
今でもそれは変わっておらず、最近ではネットスーパーや出版社による電子書籍などの動きが起こり、同じような議論も目に付きます。
僕は学生のときにWEBに出会い、その後10年以上仕事でWEBに関わってきましたが、ずっと「リアル×WEBの強み」みたいな主張に違和感を覚えてきました。
実際にもWEBで成功しているのはYahooとかカカクコムとかmixiなど、WEBネイティブというような会社が多いです。
最近になってPIXTAがなんとか軌道に乗って、僕なりのリアルとWEBの関係性が見えてきました。
PIXTAの場合は写真・イラスト・映像素材のマーケットプレイスであり、コンテンツを供給いただくのはリアルなクリエイターの方々、購入いただくのもリアルなデザイナーの方々です。
ただ仲介しているPIXTAは100%WEB上での仕組みであり、コンテンツはサーバ上で管理されています。僕らはPCの画面上のみでそこにアクセスすることができます。実際に触れることはありません。
そこで大事なことは、僕ら自身がリアルの感覚、つまりクリエイターの方々が何を考えてどのようにコンテンツを生み出しているのか、デザイナーの方が日々どんなことを考えてどんな素材を求めているのかということを身に付けなければならないということです。
そこを身に付けた上でWEBの仕組みに落とし込んでいく、ただしそこにリアルな部分、アナログな部分は極力排除しなければならない。そうしなければWEBの強みを発揮できないし、逆にWEB上で100%リアルを排除することで完全な収穫逓増モデルが実現できます。
そこまでやって初めてWEBサービスとして勝ちきれるのではないかと思います。
PIXTAでいうと理想的には、クリエイターの方が作品をPIXTAにアップロードしてからデザイナーの方が購入してダウンロードするまでを100%自動化することです。(現状では70%ぐらい?)
ただリアル世界の感覚をわからないままWEBで仕組み化しても誰も使ってくれません。僕らは特に新サービスをスタートするときには現場のヒアリングを重視していますが、そこが最も重要なところであったと思います。
なので「リアルとWEBの強み」という議論の僕なりの答えは、「リアルの感覚を見に付けた上でWEBオンリーの仕組みを作りきったところが勝つ」というものです。
と最近思っていたことをつらつら書きました。。