みなさんこんにちは。
最近では
IPO市場が活況を呈し、またスタートアップへの投資も数年前にはあり得なかった金額が相次いでおり、スタートアップにとっては非常に良い環境ですね。
その状況から自力で
キャッシュフローがプラスになるまでの2年間は毎日
資金繰りに追われて最もしんどい時期でした。その頃は2000年のネット
バブル崩壊から7~8年後の出来事であり、さらにあれから7年がたった今、歴史は繰り返す可能性は低くなく、備えをしておくに越したことはないと思います。
ということで、当時を振り返って備えとしてやってよかったこと、やっておけばよかったことをまとめてみます。スタートアップのみなさんの参考になれば幸いです。
今は
資金調達、とくにエクイティで調達する環境が非常に良いので、この状況が続くうちに調達しきることが大事です。市況が悪化した途端に方針が変わるVCもあるし、バリエーション水準もあっという間に変わってしまいます。
また現状のバーンレート(月間キャッシュアウト金額)のままで1年は持つという金額、できれば1年半以上持つ金額を調達できると理想的だと思います。
デット(借入)も選択肢に入れる
エクイティのみならずデットでも調達しやすい状況なので、増資と組み合わせると
資金的にも余裕ができるし、既存株主の持ち分も毀損することなく備えることができます。また好況時に借入で実績をつくっておけば、市況が悪化しても再度借りやすいという側面もあります。
資金繰りの基本は入りを早くし出を遅くすることという話があります。つまりは入金サイト、支払いサイトの間隔のことですね。入金は可能な限り早める方法を模索し、支払いは可能な限り遅くしていくという意識が大事です。
入金を早める方法としては、決済業者を入金サイトが早いものに変更する、請求書の支払日を前倒しで記載する(別途告知が必要な場合も)、取引先に支払いサイトを早めてもらうようにお願いしてみる、等がありますね。支払いを遅くするのもまた同じような方法です。
(この点
PIXTAのようなプラットフォーム
事業は、入金・支払いサイクルを自分でコントロールしやすいという利点があります)
バーンレート構造に気をつける
バーンレート(月間キャッシュアウト金額)をいたずらに増やさない、できれば抑え気味にしておくという意識を持つことが、いつ市況が悪化するかわからない状況だと望ましいです。特に一旦増やすと減らすことが難しい人件費やオフィス代は慎重に考えるべきです。
戦略・施策の優先順位を考え、成長するにはここだけはマストという部分だけには投資は怠らず、それ以外は当面は手をかけない、という
トレードオフを積極的に行っていくことも
経営判断として重要だと思います。
逆にいつでも投資をストップできる広告費などのコストは、実際に状況が悪化しない限りは続けても問題ないでしょう。
希望的観測はできるだけ排除する
これは状況に限らず普遍的に重要かもしれませんが、経営的には常に最悪の事態を想定しながら打ち手を重ねていく、という意識を持つべきですね。
「このまま1年間ファイナンスができなかったら」「売上が計画通り伸びなかったら」という仮定と対策を常に頭に置きながら日々過ごしているのといないのとでは、いざ市況が悪化したときに取れる選択肢がけっこう違ってくると思います。
スタートアップを軌道に乗せるのは、アクセルを全力で踏みながら細く曲がった道を走り抜けるようなものですが、壁にぶつかって車が大破したら元も子もありません。
普段から最悪の事態を想定すること、特に今のような好況が行き過ぎているときほど、真逆に振れやすいと思って備えておくことをオススメします。